日本のお風呂

日本人は大変綺麗好き、お風呂好きな民族であると思う。家庭のお風呂も旅館のお風呂も湯船と洗い場は別になっており、からだを洗い流した後の汚れを浴槽の中に入れない。他の国ではそのようなお風呂はどこにもない。少なくとも私がこれまで行った70カ国近くの国ではすべて洗い場なしの浴槽だけか、又はシャワーのみである。お風呂に関しては、日本は世界において例外的な構造と機能を持っている。

日本人がお風呂に求めるもの、それはからだを衛生的に保つこと以外に、リラクゼーションである。一日の疲れを癒す場所である。だから湯船にからだを沈めてからだが温まるまでつかっている。諸外国ではからだを洗うだけのところが多いのではないかと思う。勿論リラックスタイムとして浴槽にバスローションを入れたりするところもあるが、日本人が求めているほどのレベルではないのではないかと思う。

熱帯地方では、天水を貯めておき、柄杓で掬って頭からかけるだけで済ませるところも多い。ボウフラなどが湧いている茶色い水を使うしかないところも多い。私は海外の滞在期間が長ければ長いほど、早く帰国して風呂にどっぷりつかりたいと思うようになる。風呂恋しさに夢にまで出てくる。

家庭のお風呂も良いが、究極はなんといっても温泉である。ああ、温泉へ行きたい!できたら露天風呂がいいなあ!今もそう思って異国でこの原稿を書いている。日本人は浴槽に手ぬぐいですらつけてはいけない、というモラルを何となく守っている。公衆浴場でも温泉でも。綺麗好きの日本人、綺麗なお湯、裸同士の付き合い・・・そう言えば、諸外国にも温泉が沸くところはあるが、日本人みたいに丸裸で入浴するところは見たことがない。何故だろう?これは不思議である。(台湾、韓国あたりはどうだろうか?)

フィリピンに住んでいたとき、ミンダナオ島の北にあるカミギン島の温泉へ行ったことがある。Ardent Hot Spring Resortというところで、大きな川ではないがこじんまりした川全体が温泉になっている。当然露天風呂だった。私が行ったとき、他に誰もお客がいなかったので、川の露天風呂を独り占めとばかりに丸裸で泳いでいた。手ぬぐいは持参していたが。そこへ地元の家族連れがやってきて大騒ぎになった。裸の私を見て「信じられない。」という顔をしていた。みんな水着で入ってきたのである。さすがに私も慌てた。カルチャーショックだった。

家庭でのお風呂以外でのお風呂の裸文化は、世界でも珍しいので、日本の公衆浴場や温泉だとかは外国人にどのように受けとめられているのだろうか。実は私が住んでいる近くには公衆浴場(スーパー銭湯)や温泉が最近増えてきたが、意外なことに外国人がよく利用している。日本の風呂は日本へ来た外国人が日本の文化の一つとして体感したいものであるらしい。体感しているうちに本当に風呂好きになった外国人も多いようだ。私の友人もそうで、露天風呂の大ファンだ。水着は当然着用しない。箱根、熱海、日光、鬼怒川などの主な関東圏内の温泉へ行くと、丸裸の外国人がのびのび温泉につかっている。日本のお風呂も随分インターナショナルになったものだ。

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