一人飯

一人きりで食事をする習慣がついてもう30年になる。学生で東京に出てきてからしばらくは親戚の家でお世話になったが、その後下宿生活を始めてから一人飯人生がスタートした。勿論、友達や職場の同僚などと一緒に食事をすることも多いし、家庭をもってからは朝食と夕食は基本的には家庭でとるが、就職してから単身生活足掛け9年、海外出張中の期間を合わせるとかなりの晩飯を一人で食べている計算になる。一人飯のベテランになってしまった。

今もカザフスタンで一人飯である。若い頃は出張先でも頑張って町の中を歩き回り、レストラン探しをよくやったが、ここ数年は仕事が終わって夕飯をとるのは大抵宿泊しているホテルのレストランで済ませる。しかし今回の夕飯代は高い。ビール2杯と一品で4,000円。メニューをよく見たら“チョウザメステーキ”と書かれていたので、日本ではまず味わうことができないこの一品を注文した。

チョウザメはキャビアで知られる魚で、海水と淡水が混じりあう汽水域に生息する。日本では北海道にごく少数生息している種類があるが、黒海、カスピ海やカナダなどに多くの種類が生息している。高価なキャビアを狙って世界的に捕りすぎたために資源が枯渇し、ワシントン条約において2003年に天然のチョウザメの商業取引は禁止となった。このため、流通しているものは養殖ものか、密漁ものということになる。

キャビアは高価であるが、身の方はそれほど高いものではない。日本語では“チョウザメ”というと“サメ”という言葉が入っているために鮫と勘違いされるためか、消費者うけはしないようだ。このためあまり流通しないのであろう。身の質はタラに似て淡白で美味しい魚である。タラよりも少しクセがあるというか、風味がある。

注文して出てきたチョウザメのステーキはかなり臭っていた。冷凍状態が良くないのか、漁獲されてかなり時間が経ってから冷凍されたのかは分からないが、明らかに変敗している匂いだった。一瞬躊躇したが、火はよく通っているので問題なしと判断し、口に入れた。一口食べてはビールで消毒する感覚だった。大当たりだった。それから3日間耐えた。一人飯だから誰にも気兼ねすることなく楽しみ、また今回のように苦しさを味わうこともできる。これも思い出となる。

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