願わくばさすらいの旅人になりたい。目的地を持たず気の向くままに旅に出るのである。数ヶ月、数年どこかの町や山の中を移動しながら歩き回るのだ。気に入ったところに長く留まり、その土地にいる人々と親交を深めたい。おそらく日本の昔の人々もそうしたに違いない。旅に出て美しい自然の姿や異文化に触れ、その人は多くを学び人生に感動を覚えることだろう。そして最後はどこかに定住し、一生を終える。そのような人生を歩むことができたらどんなに素晴らしいだろうか。

人は現実には無いことやあり得ないことを望んでしまうものである。私もその一人。旅をしているようだがしていない。仕事で各国へ行くのは私にとっては旅ではない。確かに新たな人々と出会うし、異文化にも触れる。しかし自由になる時間は殆どないのだから真のその土地の姿に出会ってはいない。いつも時間に追われ帰国となる。

いや、本当は私の理想はそうでは無かった。ふるさとの懐にしっかり根を張った暮らしをしたかったのだ。だがそれは叶わぬ事実として30年以上が経過したのだから、今から夢を抱くとすれば“さすらいの旅人”だ。定住したいと思う土地に行き着いたら農を営むのだ。それは回り回ってふるさとなのかも知れない。理解してもらえる人と好きな土地で農に勤しみたい。

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