さそりの毒

生まれて初めて生きているサソリに遭遇した。それも最も嫌な形の出会いだった。今日はカンボジア北西部バッタンバン州にある村のワークショップへ行ったのだが、村の集会場で靴を脱ぎタイル敷きの床面にあがる仕組みになっていた。私が靴を脱ぎ、集会に出ていた間にサソリが靴の中に入り込んだようだ。トイレに行こうと靴を履いた途端、足親指先に激痛が走った。これまで経験したことがない強烈で焼けるような痛みだ。サソリは未経験であったが、何かで読んで知っていた。「これはサソリに違いない。」と直感で分かった。

くつから慌てて足を離し、つけていた靴下をとった。目立った腫れはその時点では無かったが、ひどい火傷を負ったときのような痛みは尋常ではなく、じっとしていられなかった。咄嗟に落ちている紐を見つけ、それで親指の付け根をくくった。すぐに村人が集まり、私の周りはたちまち人で黒だかりとなった。村で使う薬草だと言ってすぐにもってきてくれたものをつけたが、効き目は無かった。同行者の一人でタケオ州の普及員を務めているオカさん(日本人ではない)は、有効な方法があると言って、バイクにつながっている電気コードを抜き、私の足へ着けた。次の瞬間誰かがエンジンを稼働させるためペダルを踏み込んだ途端、火花と共に電気が通った。いわゆる電気ショックである。荒療治である。

電気ショックの刺激が強いので、瞬間痛みがひいたかのような気がしたが、ショックが覚めるとやはり痛い。美川憲一さんの歌を思い出した。「・・・さそりの毒は後で効くのよ~」その通りであった。時間が経過するとこの痛みが増している。ヒリヒリ、ズキズキ。クリニックへ行かなくて大丈夫か?と少し頭をよぎったが、ここは一番近くの町から70km離れた遠隔地である。あきらめてワークショップ続行。痛みに耐えながらのセッションとなった。

写真は私の靴に忍び込み、左足の親指を刺したサソリである。種類は分からないが、小さくても十分な毒を持っているようだ。
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この記事へのコメント

リクリク
2012年03月06日 01:34
中東、アフリカ、東南アジア、中南米では、靴を履く前にサソリがいないか、点検するのは常識だよ。東南アジアには、命にかかわる猛毒のサソリが居なかったのが、不幸中の幸い。サソリに刺された人を沢山見ていますが、サソリの毒に弱い人は、一時的に失明する場合も有ります。出来れば点滴を受けることをお勧めします。

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