はだしで駆けた少年

5月上旬になると空気は急に暖かくなり、初夏を思わせる陽気だ。この頃になると公園や学校の校庭の木々の緑が濃くなり、蝶や蜂など飛んでいる虫の数もぐんと増えてくる。少年の私は嬉しかった。昆虫採集用の網を持ち、虫かごをぶら下げ、夢中で野原を駆けた。目に見えるものすべてが躍動しているようで、何時間でも屋外の空気の下で戯れていることができた。クローバーが生い茂っているところは緑の絨毯。裸足になってはしゃぎ、転がりまわった。友達と四葉を懸命に探した。野の香りに包まれて少年は幸せだった。

遠い昔のことであるはずなのに、子供の頃の記憶や感性といったものは色褪せない。むしろ歳を経るに従い、目を閉じると鮮やかに甦ってくる。皆と口ずさんだ歌と一緒に。夢の中で私はここ数年の腰痛だとかは嘘のように消えており、からだに何の苦痛も無く、俊敏な頃の少年になっているのである。随分長いこと駆けても腰など痛くはない。少し休憩をとればすぐに元気が戻る。時々足があがらず踵をすってしまったり、腰をかばいながら歩く現在の自分の姿は消えているのだ。

いかに少年がきらきら輝く宝物に囲まれて育ったか、今私はよく理解できる。

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