ふと一人旅

急に一人で見知らぬ街に行きたくなることはないだろうか。私にはよくある。現実逃避なのかも知れないし、それまでとは違った何か新しい発見をしたいという願望なのかも知れない。学生の頃から私にはそのような心理状態になることが良くあり、特別の目的なくあてもなくどこかを彷徨うのが好きであった。若い頃は好きな時に好きなだけできた。アルバイトでお金を貯めて。
あれから約30年近くが経つ。その間気ままな一人旅もするにはしたが、頻度は本当に減った。時間もお金も自由にはならない。それは当り前のこととしてかなり運命に忍従してきたが、この度は5-6年振りで少しの期間ふらりと出てみた。これでもかなりの思い切りが必要であった。仕事以外で海外に出ることはまずできないし、たまたま別に所属するNPOの活動の一環にひっかけて行くことにした。
ミンスクの中央駅に立った私は日帰りで戻ってくることができる場所に行こうと列車を待った。初めての国で言葉も十分には通じない所での少しの冒険である。列車の行先が分からないと少々不安ではあるが、不安よりも未知との遭遇に対する期待の方が大きい。実際に列車の乗客がいるのだから、何か困ったら聞けば良い。そう自分に言い聞かせて各駅停車の旅に出た。車窓を白銀の景色がゆっくり流れていく。ミンスクの高層のアパートなどの建物が立ち並ぶ地域を抜けると、段々のどかな風景が広がってきた。おそらくは広々とした草原とその向こうに山並み。一面の雪で実際は何があるのかはっきりとは分からないが、自然な輝きが至るところで見られる。
1時間くらい走っただろうか。Беларусь(ベラルーシ)という国と同じ名前の駅があったので下車した。特に何かある町ではないが、のどかな田舎町で白壁の古い大きな教会が二つあった。雪と氷で路面は凍結しており、歩くのが大変であったが何度となく転びながらも教会に辿り着いた。異教徒であるのに厳粛な気持ちになって神に祈りたくなった。町の中を方々歩いた。おそらく何キロも歩いただろう。年齢のためか足が棒になり腰が石板のように重く痛くなった。これで帰途につかなくてはその日のうちに首都に戻れるかどうか分からない。駅まで引き返してみると駅前に美味しそうなビア喫茶があった。立ち飲みで数名のお客が煙草をくゆらせ談笑しながら生ビールをやっている。私も辛抱できずにその中に入った。いい気持ちになった。
ミンスクに戻ったのは夜遅かった。
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