カンボジアとのお別れ

 今回で私自身のカンボジアでの仕事は最後となる。2004年から10年間長い付き合いであった。振り返るとあっという間に10年が過ぎ去った感じだが、はじめの頃と比べると辺りの社会経済は随分と変化した。現在では都市には新車やショッピングセンター、ホテルにレストラン、様々のものが溢れ、田園地帯では農機が活躍している。初めて来た頃はまだ農耕牛が一般的であった。物乞いをする人の数も激減した。経済的には明らかに良くなった。今年3月にはプノンペンの空港に吉野家の牛丼店がオープンしたのには驚いた。近くイオンもオープンするようだ。
 人はどうか。少なくとも仕事で付き合っているカンボジア人のあるお役所の職員は変わった。最初は仕事のやり方、考え方の違いからぶつかることがよくあった。日本流のスケジュール管理、会計処理などを受け入れてもらえず、強く言うと職場を放棄されることも何度かあった。それでも長年の付き合いを通じて今では日本流のやり方に馴染んでくれた。彼らに言わせると、周りの役所では未だに高官が私腹を肥やす悪しき習慣が健在らしいが、人をスポイルさせない日本流の技術協力に謝辞をいただいている。
プノンペンを去る日、少し後ろ髪をひかれる思いがした。ここでの合計20回以上におよぶ滞在期間中に、様々の出会いがあったし、葬式、結婚式、村でのお祭りなどカンボジアの人々の暮らし向きの一面を覗ける興味深い場面にも遭遇した。仏教国なのでどの町にも寺院があり、僧侶は人々の精神生活を支えている。魚を放流する式典など大勢の村人が集まる機会には必ず僧侶が呼ばれる。現代日本とは違ってまだまだ家族、親戚、村社会の絆が生きている。
それにしても、帰り際に仕事で一緒に仕事で最も付き合いが深かった人からいただいたお土産は長い杖だった。柄の先に竜の彫刻が施されている。「あなたも歳をとったからそろそろこれが必要と思って。」と手渡された杖の重さを感じた。そう、確かにここで歳をとったのだ。彼はユーモアの積りで言ったのかも知れないが、言葉に重みを感じた。足腰の状態は自分で分かっていたので、有難く頂戴した。
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